節分に「鬼は外、福は内」と豆まきをしますが、埼玉のとある神社では“鬼は内”と言って豆まきをする場所があります。
鬼を祀っている『鬼鎮神社』です。
今回は、鬼鎮神社で行われる節分祭についてご紹介いたします。
鬼鎮神社とは
1182年(寿永元年)に創建されました。
鎌倉幕府初期の有力御家人畠山重忠(はたけやま しげただ)が菅谷館の鬼門除けとして鎌倉街道に沿って建立されたと伝えられています。
「鬼鎮神社(きじんじんじゃ)」はその名の通り「鬼」を祀った神社です。
鬼を祀る神社は珍しく、全国でも4社程。
- 福岡県添田町
- 大分県大分市
- 青森県弘前市
埼玉県比企郡嵐山町の「鬼鎮神社」です。
鬼を祀る神社としては、「鬼鎮神社」が関東圏にある唯一の神社となっています。
人間の領域を超えた力の強い鬼ですので、除災招福(じょさいしょうふく)の神として信仰されています。
「鬼に金棒」というコトワザもあるように、鬼は金棒を持って邪悪なものを鎮めることから祈願をする人々が金棒を奉納します。
戦時中には武運長久を祈る人々で賑わい、ここ「鬼鎮神社」で祈願すると必ず勝つということで多数の金棒が奉納されました。
念願叶った人々の金棒が多く奉納されています。
現在では、合格祈願や、スポーツ選手と言った方が祈願に訪れたりするそうです。
境内や社殿はそれほど大きいとは言えませんが、屋根の上には鬼瓦が葺かれていたり、軒下には赤鬼と青鬼の木札が掲げられているユニークな神社です。
6月10日、埼玉県比企郡嵐山町にある鬼鎮(きじん)神社へ参拝に伺いました。以前テレビで見て行ってみたいと思っていました。鬼を祀っている神社は全国で四社だけとのこと、金棒や鬼瓦などとても興味あるものがいっぱい♡#御朱印 #鬼 #鬼鎮神社 #節分 #比企郡嵐山町 pic.twitter.com/j4VJHY03Yc
— ちひろ (@Kaokaoibu) 2018年6月16日
鬼鎮神社での節分祭
節分とは、立春の前の日を言います。
昔の人は、季節の変わり目には邪気が入り込みやすいと考えていました。
そのため、一般的には節分の日に災いや、病などから身を守るためにその年の年男が「鬼は外、福は内」と声を出しながら福豆を撒き、邪気(鬼)除けを行います。
ところが「鬼鎮神社」においては「福は内、鬼は内、悪魔外」と言います。
そして、赤鬼、青鬼が年男と一緒に福豆や団子、ミカンやお菓子などを大量に撒いて厄除けを行うという他にはあまり例のない節分祭となっています。
「鬼鎮神社」では鬼は神の使者であること。
参拝者の悪魔を追い払うとされ、昔から諸国の鬼たちが鬼鎮様の祭神の許しを得て、ここへ逃げて来ると言われているため、「鬼は外」とは決して言いません。
豆まきで逃げてきた鬼が行き場がなくなってしまいますからね・・・
豆まきが終わると、社務所で「赤鬼、青鬼が金棒を持った絵の入った絵馬」を受け取り、家の入口などに吊るします。
そうすることで、絵馬は盗難除けになるそうです。
神社で拾った福豆は、自宅で用意した豆と一緒にして、家内安全、無病息災を祈って再び豆まきをしましょう。
この時にも「福は内、鬼は内、悪魔は外」という事を忘れないようにしましょうね。
基本情報
開催日 | 2022年2月3日 |
開催時間 | 午後15時~ |
開催場所 | 鬼鎮神社 〒355-0213 埼玉県比企郡嵐山町大字川島1898 |
アクセス | 東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩約12分 |
駐車場 | 有り(当日臨時駐車場あり) |
お問合せ | TEL 0493-81-4511 嵐山町観光協会 鬼鎮神社:0493-62-2131 |
鬼鎮神社のお守り
鬼鎮神社は、力の強い鬼が祀られた神社で祈願をすると必ず勝つと言われています。
以前、競馬の騎手がお守りの金棒を身につけてレースに出たら見事優勝したという逸話もあるそうです。
とても可愛いらしい金棒のお守りですので、必勝祈願にぜひ訪れてみるのも良いですね。
鬼鎮神社。お守りと、10cm位のちっこい金棒。 pic.twitter.com/34kn3EtKaF
— しろ丸 (@shiro__maru) 2018年6月30日
鬼が祀られた起こりとは
その昔、刀をつくる鍛冶屋さんが、朝から晩まで毎日毎日忙しく、一心に刀を作っていました。
ある日のこと、若い男がその鍛冶屋を尋ねて「刀が作りたい。教えてください。」と頼み込んできました。
鍛冶屋も忙しかったのですぐに良いと返事を出しました。
若い男は、とても熱心で休みの時間にも、夜もろくに寝ずに、刀造りに精を出していました。
鍛冶屋の家には、美しい女の子がいました。
ある日、若い男は、主人に娘を嫁にくださいと頼んだのです。
主人は、少し考えました・・・・
そして「刀を一晩に100本作れたら、嫁にやろう。」と答えたのです。
若い男は、喜び準備をして、夜になったので、槌を振り上げ、トントントントンと刀をうちはじめました。
すると、みるみるうちに、2本、3本と出来上がってきました。
夜も遅くなり心配した主人は、そっと若い男が刀を作るところを覗きました。
たくさんの刀の山が積まれていました。
しかし、主人は刀をつくっている若い男をじっくりと見てみると、その男はいつもの男ではなく、まるで鬼の様に見えたそうです。
トントントントンとうつ様も、火花を散らし、辺り一面が火の海。
男の鋭い目、頭には角まで生え、手は次々に出来た刀を積んでいく。
主人は驚き、「あの男に、可愛い娘をやれん」と、早く夜が明けなくてはと考え、急いで鶏を鳴かせて、朝を迎えました。
東の空が明るくなって夜が明けると、刀は99本出来ていました。
鬼と化した男は槌を握ったまま倒れ、死んでしまっていたのです。
主人は、なくなった男を哀れに思い、亡き骸を神主に頼み庭の隅へ埋め、そこに鬼鎮様というお宮をつくってお祀りしたそうです。
まとめ
いかがでしたか?
鬼鎮神社の鬼は実は一人の娘に思いを募らせた男の何とも哀しいお話だったのです。
とても力の強い鬼を祀った珍しい「鬼鎮神社」。
ぜひ、節分には赤鬼と青鬼と一緒に豆まきを楽しんでみてください。
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